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さくらインターネット、石狩データセンターでの実運用に向けた高電圧直流(HVDC) 給電システムの評価検証結果を発表。総合効率90.394%を達成
〜コンテナ型の実地検証環境を石狩データセンターにて構築し、実運用フェーズへ〜

国内最大級のバックボーンネットワークを有しインターネットデータセンター事業を運営するさくらインターネット株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:田中 邦裕)は、NTTデータ先端技術株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:三宅 功)、河村電器産業株式会社(本社:愛知県瀬戸市、代表取締役社長:河村 幸俊)、日商エレクトロニクス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:瓦谷 晋一)と4社合同で実施した高電圧直流(HVDC※)給電システムの評価検証結果について、総合効率90.394%を達成したことを発表いたします。今後、2011年秋に竣工予定の石狩データセンターでのHVDCの実運用開始に向けて、コンテナ型の実地検証環境を現地のコンテナヤードに構築し、最終的な確認を進めていきます。HVDCの採用と北海道の冷涼な外気を活用した外気冷房により、石狩データセンターのエネルギー効率は世界最高水準を達成します。

※High Voltage Direct Currentの略で高電圧の直流での給電方式を意味する。
HVDC 12V方式は、300Vを超える高電圧直流を集中電源で12Vへと降圧した上でそのままサーバに給電する方式。

 

変圧器からサーバへの給電までの総合効率で90.394%を達成

石狩データセンターでのHVDC 12V方式の実運用開始に向けて、5月から7月にかけて当社西新宿データセンターにて実機レベルでの評価検証を実施しました。その結果、変圧器への入力からHVDCへの変換、集中電源(12V)によるサーバの給電までの総合効率は、当初発表の通り90%以上を達成し、90.394%を計測しました。従来のAC方式(電力効率70~80%)と比較して、大幅な消費電力の削減が可能となります。

HVDC

 

消費電力とCO2排出量を20%削減、HVDC導入による省エネ効果(予測)

HVDC導入によるエネルギー効率の改善によってどのような省エネ効果が生まれるのか、簡易的なモデルケースを作成しました。AC方式との電力効率の差を20%とした場合、合計利用電力1000kVA、サーバ負荷率50%のケースにおいては、CO2削減量が530t、電力料金の削減額が2579万円という予測結果となりました。データセンターの運営コストに占める電力コストの割合は大きく、消費電力に応じたCO2を排出する形となることから、HVDCによるエネルギー効率の向上と省エネの推進は、経済的な意味だけではなく、社会的な意義も大いにあると考えています。

HVDC導入時の省エネ効果(予測)

※利用電力は、合計1000kVAとする。

※AC方式とHVDC方式の電力効率差を20%とし、サーバ負荷率(CPU駆動率を50%と想定した場合。

 

消費電力削減だけでなく各種コストやリスクも低減、HVDCの様々なメリット

最大で20%の消費電力を削減できるだけでなく、HVDC 12V方式には様々なメリットがあります。まず、高価なUPS(無停電電源装置)やサーバ内部の電源ユニットが不要となり、ケーブル設備の簡素化も可能であるため、データセンターの電源設備に関するコストが削減されます。また、設備構成が単純化されることにより故障リスクが減少し、設備の信頼性も向上します。将来的な自然エネルギーの活用を視野に入れると、太陽光等の自然エネルギーは直流であるため、交流に変換(系統連系)する必要がないHVDCには大きな優位性があります。

 

コンテナを利用した石狩データセンターでの実地検証環境

石狩データセンターでのHVDC実運用フェーズに向けた最終的な実地検証環境として、コンテナを利用した設備を構築し、石狩データセンターのコンテナヤードに設置します。20フィートコンテナに外気空調ユニットを備えつけ、内部に6ラック規模のHVDC設備を用意し、最終的な検証として様々な試験、測定を実施する予定です。石狩データセンターの竣工に合わせて、設備を外部公開しご見学いただくことも検討しています。

コンテナ

 

<参考資料>

■西新宿データセンターでの評価検証の概要

評価検証では、西新宿データセンターにHVDCの環境および従来のAC環境を構築し、HVDCの効率性と安全性、信頼性の検証を実施しました。効率性の検証においては、HVDC環境ではDC 12Vサーバを、AC環境ではAC 100Vサーバを動作させ、各環境のトランスからサーバまでの効率を計測し比較しました。また、停電や復電、突入電流や横流の試験も実施し、安全性や信頼性の確認も実施しました。

 

北海道の冷涼な外気を活用した外気冷房の仕組み

石狩データセンターでは、北海道の冷涼な気候を活用した外気冷房により、ほぼ通年でサーバルームの外気冷房が可能です。低温の外気とサーバからの排熱を混合し、最適な温湿度の冷却風をサーバルームに供給します。外気冷房の導入により、空調にかかる消費電力の大幅な削減を実現します。

石狩データセンター断面図(イメージ)

※サーバルームの空調は、天井から冷却風を供給する天井吹出方式と、壁面から冷却風を供給する壁吹出方式を採用。

 

以上

■さくらインターネット株式会社
本 社:大阪市中央区南本町1丁目8番14号
設 立:1999年8月17日
従業員:172名
資本金:8億9530万円
売上高:85億8438万円(平成23年3月期)

■この報道資料の問い合わせ先:
さくらインターネット株式会社 企画部 広報宣伝チーム
TEL:03-5332-7072 FAX:03-5332-7080 E-mail:press-ml@sakura.ad.jp